傷だらけの黒猫総長




「ううんっ、ダメじゃないの! ダメじゃないんだけどっ、ごめんね、なんか緊張しちゃって……!」


「緊張……」


「ひゃっ!」




何を思ったのか、黒羽くんの手がわたしの背中に触れる。

撫でるような動きに、宥めてくれてるのかな、と察しがついたのだけど……。




ドキンドキンドキンドキン




わたしの心臓は落ち着くどころか激しさを増した。


黒羽くんそれ、嬉しいんだけど逆効果……!




「……? 苑香、体が熱い。熱がないか?」


「へっ!? そ、そんなことないよ!?」


「でも、顔も赤い」




黒羽くんはわたしのおでこに手を当てて、席を立つ。


それはドキドキしてるせいで、と言い損ねたわたしは、こっちに来た黒羽くんに、お姫様抱っこで持ち上げられてしまった。

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