傷だらけの黒猫総長
「「「きゃーっ!」」」
「……? 保健室まで連れていく」
「えぇっ、ま、待って黒羽くん! 本当に大丈夫だから!」
「自覚がない時が一番危ない」
「そういうことじゃなくてっ!」
無慈悲に連行されながら、助けてみんな! と周りを見ると、サムズアップで送り出された。
一部の男子は項垂れたり顔を覆っていたりしたけど、止めてくれる気配はなく。
わたしは黒羽くんにお姫様抱っこされたまま、1階の保健室まで運ばれることとなった……。
「先生がいないな……ベッドを借りるか」
「うぅ……」
先生がいなくてよかった。
そう思いながら、ゆっくりベッドに降ろされるその丁重な扱いに、またドキドキする。
黒羽くんはベッドのそばに跪く形になって、真っ赤な顔をしているわたしを見上げた。