傷だらけの黒猫総長
「体、辛くないか?」
「大丈夫……ありがとう、黒羽くん……」
純粋な心配からの優しさだから、あまり強く言えない。
誤解は解いた方がいいんだろうけど……上手く説明できる自信もないし。
「……皇輝」
「え?」
黒羽くんの名前? と瞬きをして首を傾げると、黒羽くんはハッとしたように口を押さえる。
それから、シュン、として謝った。
「ごめん、こんな時に。……ゆっくり休んで」
「ま、待って!」
立ち上がって離れようとする黒羽くんの制服を、思わず掴んで引き留める。
今の、名前で呼んで欲しい、ってことだよね?
……黒羽くんに、そんな顔をさせたままでいたくない。