傷だらけの黒猫総長
「……っ、こ、皇輝……くん」
「……!」
意を決して名前を呼ぶと、振り返ってわたしを見下ろしていた黒羽くんは、目を丸くして。
嬉しそうに、“微笑んだ”。
「……うん」
「〜〜っ!」
あの、黒羽くんが……!
目元だけじゃなくて、口元まで、ちゃんと……。
――あぁ、わたし……。
ガラッ
「そのちゃん、コウ! お姫様抱っこって、なに!? 超噂になってるんだけど!」
「……若菜」
「わ、若菜ちゃん……」
「!」
わたしの顔を見た若菜ちゃんは、盛大に驚いた顔をして、にんまりと、黒羽くんを追い出す。