傷だらけの黒猫総長
「なぁ〜んだ、そういうこと? コウ、後は“なー”がそのちゃんのお世話するから、出てって!」
「……分かった。じゃあ、苑香」
「う、うん。……皇輝、くん」
もう一度名前を呼ぶと、黒羽くん……皇輝くんは、目元を和らげて頷いた。
今度は口元まで動いていなかったけど、あの“微笑み”は脳裏に焼き付いている。
皇輝くんが保健室から出ていった後、若菜ちゃんはわたしに迫って、両手を握った。
「そのちゃんっ! その顔……コウに恋しちゃったんだね!?」
「わぁっ、やっぱり分かる……!? ど、どうしよう、若菜ちゃん。わたし、こんな気持ち初めてで……っ」
「きゃ〜っ、そのちゃんも初恋!? もう運命的♪ やっぱりそのちゃんはコウの天使だねっ」
その日、わたしは生まれて初めて、お友達との恋バナに夢中になった。