傷だらけの黒猫総長
ひとまず席を立つと、皇輝くんは優しい眼差しを向けてわたしを連れ出し。
わたしは、皇輝くんの瞳にドキドキしながら、階段を上がる彼に着いて行った。
「皇輝くん、また屋上に出るの?」
「ううん」
屋上の扉の前で足を止めた皇輝くんは、そう答えながら振り向くと、唐突にわたしを抱き締める。
「ひゃわっ、こ、皇輝くん……っ!?」
「うん……」
返事をしつつも、わたしをぎゅうっと抱き締めたまま動かない皇輝くんの様子に、何かあったのかな……? と思い至った。
ドキドキを超えてバクバクしてる鼓動が、皇輝くんに伝わりそうでちょっと気が気じゃないのだけど……。
わたしはそっと、皇輝くんの背中を撫でてみる。
「……どうしたの?」