傷だらけの黒猫総長
「苑香に、会いたかった」
「へっ!? そ、そっか……」
あぁぁ、思いっきり上擦った声が出ちゃった……。
だってだって、皇輝くんにそんなこと言われるなんて!
「……苑香。俺も、我儘になっていいのかな」
「え……?」
「父さんに会って思った。俺、苑香も、みんなも、失いたくない」
「……!」
あわあわしていた心が落ち着いて、皇輝くんの“心がこもった”声に聞き入る。
「でも、父さんにも、認められたくて……ごめん、分からないと思うけど、そのまま聞いて欲しい」
「……うん」
「今まで、言われた通りに生きてきた。出来損ないの俺には、他のものを望む資格なんてなくて」
「皇輝くん……」
自分を卑下する言葉を聞くと、胸が苦しくなる。