傷だらけの黒猫総長
「逃げやがった!」
「追えっ、逃がすな!」
サイドミラーから後を追ってくる集団を確認すると、皇輝はスピードを上げて無作為に走り回る。
ついでの時間稼ぎをした皇輝が合流地点に行くと、そこには既に葉、若菜とスピード自慢の特攻部隊が揃っていた。
「わお、コウが誰かのバイクパクってる!」
「うちの総長は逞しいね。僕達も気合いを入れて相手をしようか」
「こいつら……っ! ハナからこのつもりだったのか!? 上等だ、まとめてぶっ潰してやる!」
人数差ではまだ襲撃者達が上回るものの、バイクを乗り捨てた皇輝を筆頭に、飛翔謳歌は威風堂々と臨戦態勢をとる。
両者一歩も引くことなく、暴走族同士の殴り合いは、怒号と共に始まった。