傷だらけの黒猫総長




「総長、連れて来ました!」


「ましたー!」




奥の階段を登って2階のお部屋に着くと、男子3人、女子2人の計5人が、カラフルなお部屋の中にいた。

テーブルを囲むように置かれたソファーに座っている人もいれば、歩いてる途中で振り返ったような体勢の人もいる。




「――……」


「えっと……こんにちは。初めまして」




その中で、テーブル奥の1人用ソファーに座っている人と目が合って、わたしはとりあえず微笑んだ。


しっとりと濡れたような、艶やかな黒髪に。

夜空に輝く星のように神秘的で、物言わぬ静かな瞳。


冷徹にさえ感じる表情のない顔、だけど……。

彼は、ほんの少し目を見開いて、薄く口を開けた。

< 19 / 283 >

この作品をシェア

pagetop