傷だらけの黒猫総長
「わりぃが、肩貸してくれねぇか?」
「は、はい……」
どこか怪しい気がしつつ、でも怪我してる人を放っておけないし、と屈み込んで手を貸す。
すると、突然頬に衝撃が襲った。
「っ!? い、た……っ」
「ハハッ、ツイてるぜ。てめぇがあのクソ野郎と知り合いでも知り合いじゃなくても、これでやり返してやれる!」
「な、にを……」
殴られたと気づいたのは、ジンジンと痛む頬を押さえてから。
初めての痛みに涙が滲む瞳で男の人を見ると、ニィと笑いながら悪意のある怖い目で見下ろされた。
「大人しく着いてこい。逆らっても気絶させて連れて行くがなぁ」
「っ……!」
それは、初めて“不良”が怖いと思った瞬間だった。