傷だらけの黒猫総長
「見つけたぜ……黒羽ァ! こっち見やがれ!」
乱暴に腕を掴まれて歩いていると、バイクの音が聞こえたり、怒号が聞こえたりと、騒がしい場所に着いた。
怒鳴り声をあげた男の人に、首へと腕を回されて逃げ出せなくなったわたしは、竦む体で辺りを見回す。
「……――!」
「皇輝、くん……っ」
目の前に広がっていたのは、何十人もの人が殴り合いの喧嘩をしている光景。
その中でも、中心に近い場所にいた皇輝くんは、近くの人を空手のような動きで蹴り飛ばした後、振り向いて目を見開いた。
「えっ、そのちゃん!?」
「……! 市松さん……!」
「へぇ、大当たりか。オラ、動くんじゃねぇぞ、てめぇら」