傷だらけの黒猫総長


その可愛さとは裏腹に、体格のいい男の人とも殴り合って勝ってしまう頼もしいお友達に、わたしの目は丸くなった。



若菜ちゃんの後ろで縮こまりながら、痛そうな光景ばかりの周りを見ていると、生徒会でお世話になっている先輩の姿を見つける。


荒々しいこととは無縁そうな矢吹先輩は、けれども味方らしき人達をフォローしながら、美麗な足技で次々に相手を倒していた。



本当にみんな不良なんだと、なんだか改めて実感する。




ファンファンファンファン


「やべっ、サツだ!」


「退くよ! 若菜ちゃん! 皇輝!」


「了解っ、そのちゃんはコウと逃げて!」


「う、うんっ、分かった!」




パトカーのサイレンが聞こえてすぐ、矢吹先輩が号令をかけて、飛翔謳歌の人達が素早く引き上げる。

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