傷だらけの黒猫総長
黒猫のいない学校
“暴走族”が学校に来て、警察に事情聴取をされてから1日。
わたしは朝から暗い気持ちで校門を通った。
「ねぇ、あの子じゃない……?」
「可哀想に……」
ヒソヒソと噂話をしながら向けられる視線は、同情的なものばかり。
頬で存在感を放つ湿布には特に視線が集まって、その下の青くなっていたアザが少し痛んだ気がした。
「市松さん!」
「苑香っ」
「市松……!」
下駄箱に行くと、クラスメイトの子が次々に声をかけてくれる。
昨日は事情聴取が終わって、先生から注意を受けた後そのまま早退することになったから、心配をかけていたみたいだ。
わたしの代わりに怒ったり、涙を浮かべたりと、優しくしてくれるみんなに囲まれて教室に行くと、また同じ現象が起きて。