傷だらけの黒猫総長
「本当に、市松さんが巻き込まれたって聞いて心配だったんだ」
「うん、みんなありがとう。わたしは大丈夫だよ、怪我をしたのもここだけだし」
湿布の上から頬に触れて、心配をかけないように微笑む。
大きく口を開けたり、表情を変えようとすると痛むから、いつもより控えめに。
それから、他のクラスのお友達や、仲良しの先輩までもが教室に来てくれたけど、不自然なほどに皇輝くんの話題は上がらなかった。
わたしもあえて口にはしなかったけど、人が寄り付かず、座る人もいない後ろの席を見ると、胸が締め付けられる。
これからしばらく、わたしの後ろの席は無人のままだから。
キーンコーンカーンコーン
どうにも晴れない気持ちのまま、1時間目の授業が終わって溜息を吐くと、クラスメイトの子に肩を叩かれた。