傷だらけの黒猫総長
「苑香、先輩が来てるよ。確か副会長の人だよね?」
「あ……、うんっ。教えてくれてありがとう!」
教室の扉を見ると、昨日のことが夢だったように、普段と全く様子が変わらない矢吹先輩が立っていて、すぐに席を立つ。
お礼を言ってから小走りで駆け寄れば、矢吹先輩は優しく微笑んで「少し話そうか」とわたしを屋上に連れ出した。
「矢吹先輩っ、皇輝くんは……!」
「停学処分が下されたってことは市松さんも聞いたかな? 期間は3ヶ月、復帰は9月になるそうだよ」
「そんな……3ヶ月も?」
吹き抜ける風を浴びながら率直に尋ねると、衝撃的な答えが返ってきて空いた口を押さえる。
確かに、暴力はいけないことだけど……皇輝くんは、あの人達に呼び出されただけなのに。