傷だらけの黒猫総長
「この場所のことや、この服のことは、お母さんから聞いたことがないんです。本人からは、もうお話を聞くことができないので……」
わたしはバッグからピンク色の服を取り出して、思いを馳せるようにそっと撫でる。
すると、奥の人とは別のソファーに座っている、ストレートロングの髪をした女の人が首を傾げた。
「それ、もしかして……初代総長の特服かい?」
「とっぷく……? えっと、お母さんの服だと思いますよ」
「え〜、凄い! ねぇねぇ、それ触らせてくれない?」
可愛い女の子がわたしに近づいて手を合わせる。
小首を傾げた様子がまた可愛くて、本当にアイドルみたいだなぁと思った。
「いいですよ。どうぞ」
「わぁ〜、ありがとう! バサッとな♪」