傷だらけの黒猫総長
……きっと、今までは耳に入らなかっただけで、学校中であんなお話がされてるんだろうな。
「……場所、変えようか」
司くんも皇輝くんのことは嫌いなはずだけど、そう言ってわたしを屋上前に移動させてくれた。
わたしの周りは、優しい人でいっぱいだ。
「気を遣ってくれてありがとう」
「ううん、苑香さんには暗い顔をして欲しくないから。……偏見で糾弾するつもりはないけど、僕の意見も聞いてくれるかな」
「……皇輝くんのこと?」
眉を下げて微笑むと、司くんは真剣な顔で頷く。
「昨日の件が、黒羽に起因することじゃなかったとしても、彼と関わるのはやめた方がいいと思う」