傷だらけの黒猫総長
「“よかったね”にしろとは言ってないさ。背負ってやんだよ、その傷も。……敵討ちはしたんだろ?」
皇輝はピクリと肩を揺らして頷く。
「それでもまだ気が済まないなら、族ごと潰しちまえばいい。スッキリするまでやりたいことやってみろ」
「……やりたい、こと……」
「飛翔謳歌の数少ない掟だろ? “心のままに”。親父は俺が何とかするから、お前はしばらく倉庫にでも行ってろ」
ポンポンと頭を撫でられた皇輝は、晴れない表情のまま家を出た。
飛翔謳歌の倉庫に行き、売られた喧嘩の後始末について仲間と話すと、皇輝は瞳に暗さを残したまま告げる。
「実行は、副総長に任せる。今後のことも、……しばらくは葉先輩がまとめてくれ」