傷だらけの黒猫総長
「今まではさ、クールだけど結構話せるし、学校をよくサボるだけの不良だったから、応援してきたけど……」
「暴走族だっけ? あんな集団と暴力沙汰起こして、市松さんが怪我する羽目になるんじゃ、絶対ナシだよね」
「俺ら騙されてたのかもな。学校来ない時だって、外でやばいやつらと喧嘩してたんじゃねぇの?」
「ありえる。暴走族とつるんでるどころか、その大将って噂もあるし」
みんながそんなお話をしていたことに、あまり驚きはなかった。
むしろ、やっぱり、と思ったくらいで。
それとは別に、ショックを受けた胸を押さえて、落ち着かなきゃ、と自分に言い聞かせる。
みんなは詳しい事情を知らないから、皇輝くんが本当に優しい人だって分からないだけ。
今まで見てきた姿が、本当に“皇輝くんの本当の姿”だったのか、確信できないだけ。