傷だらけの黒猫総長
一方的に喋りすぎたかなと、少し冷静な部分が戻ってきて、一度深呼吸を挟んだ。
「……わたしは、皇輝くんがその一面を見せないようにしてくれてるところも含めて、皇輝くんが好きなんだ」
大切に、大切にしてくれてるのが、伝わってくるの。
近づき過ぎないように、少し離れたところから、そっと。
「ごめんね、みんなにも分かって欲しくて、押しつけるような言い方をしちゃった」
そう謝ってから、今度は押しつけにならないように言葉を選んで、思いを伝える。
「あの件で皇輝くんのいいところが消えちゃったわけじゃないから、考えてみて欲しいんだ。皇輝くんを受け入れられないか」
眉を下げて微笑むと、みんなは顔を見合わせて、少し黙り込んだ。
せめて、同じクラスのみんなだけは、皇輝くんを信じてあげて欲しい。