傷だらけの黒猫総長
そう思いながらぎゅっと手を握ると、教室に声が響く。
「市松さんにそこまで言われたら……割り切るしかないかな。黒羽くんは喧嘩もする不良だけど、学校じゃ大人しいから大丈夫だって」
「うん……確かに、あの人達が学校に押しかけてくるまで、無害な不良だったし」
「まぁ、俺達も悪かったよ。市松の言う通り、黒羽が意外といいやつなのは変わらないんだよな」
「それに、苑香へのあの態度を考えたら、ねぇ?」
次々に肯定的な言葉をもらえてパッと顔が明るくなると、その一言でみんながまた顔を見合わせた。
「「「完全に無害」」」
「だよね〜。ごめん苑香、黒羽くんの不良らしいとこあんまり見てなかったから、過剰に反応しちゃった」
「考えてみれば、市松さんが好きになるようなスーパーイケメンだし? 好きな人を悪く言ってごめんね」
「えっ!? す、好きな人って……!」