傷だらけの黒猫総長
「なるほど、では転校を視野に入れるとしよう。……これ以上君達の戯れ言を聞く気はない。早く出て行ってもらおうか」
怒る若菜ちゃんの言葉も、落ち着いた矢吹先輩の言葉も一蹴して、お父さんは冷たくそう言った。
学校をサボってここにいるわたし達の言葉は、お父さんの前じゃ説得力を持たないみたいだ。
「そんなに帰って欲しけりゃ、帰ってやるよ。ただし、皇輝は俺が連れて行く」
「ふん、その話はもう終わっただろう」
「勝手に終わらせんな。皇輝はもう、この家にいることを望んでない。俺と行くっつってんだ」
「だからどうしたと言うのだ。愚かな皇輝が何を言ったところで、私はそのようなこと、許可しない」
「……」
わたしは口を閉ざしながらも、お父さんの言動の端々から感じるものに眉をひそめる。