傷だらけの黒猫総長
「……無断か」
奥に座っている彼は、やはり感情の窺えない声でそう呟く。
みんなはチラッと彼を見て、その発言に注意を向けているようだった。
何となく、だけど、あの人がここにいるみんなのリーダーなのかな?
「初代総長が許可していないことを、俺達の口から話すわけにはいかない」
再び目を合わせた彼に淡々と言われて、確かに、と納得する。
お母さんは、わたしがここに来たことをよく思ってないのかな。
……それは、分からないけど。
「そう、ですね……お母さんは、理由があってわたしに言わなかったのかもしれないけど……」
わたしは写真の表面を見て、いつもと少し違う雰囲気で、満面の笑顔を浮かべているお母さんの姿をそっとなぞった。
「こんなに生き生きとしている時のこと、お母さんなら、聞けば笑って教えてくれたと思うんです」