傷だらけの黒猫総長
ピッチリとしたスーツ姿に、溢れ出る切れ者の風格。
ところどころ皇輝くんと重なる顔立ちは確かな血の繋がりを示しているけど、纏う雰囲気は似ても似つかない。
「あなたは皇輝くんのことを何も分かってない! 皇輝くんがどれだけ頑張り屋さんか! 不出来? どこを見たらそう言えるの!」
「苑、香……」
激情に任せて怒鳴ると、皇輝くんの小さな声が聞こえる。
今まで、皇輝くんがどれだけ辛い思いをしてきたのか……それを考えると、胸が裂かれるように苦しくて、痛い。
「分かっていないのは君の方だと思うが。同じ学校の生徒と言うだけで、父親よりも正確にそれを理解できると?」
「できます! わたしはあなたより、皇輝くんのいいところを沢山知ってる!」
「そうか。自明の理も分からないようでは、話す価値は無いな。君達のような不良に時間を取られるのは、大きな損失だ」