傷だらけの黒猫総長
わたしの言葉がまるで響いていないように、お父さんは「そろそろ警察を呼ぶぞ」とわたし達を冷たく一瞥した。
それで、あぁ、と理解して、体中に滾った力が抜ける。
世の中には、どれだけ話し合っても理解できない、“相容れない人”というのがいて……わたしにとっては、目の前の人がそうみたいだ。
心のままに生きてきたわたしには、心を全く大事に思わない、理詰めで生きる人は苦手だけど……。
この人と話がしたいなら、伝え方を変えなければいけない。
でも……聞く耳を持ってもらえないこの状況で、どうやって?
「……仰る通り、僕達は不良です。ですがそこの彼女は、僕達が無理やり連れてきた、極々善良な一般生徒ですよ」
「え……?」
「そうよ、若菜が学校に乗り込んで、わざわざ来てもらったんだから!」
「確かに、そっちの2人は俺が引き合わせたやつらだが、その子は皇輝が高校で作ってきた友達だ」