傷だらけの黒猫総長


わたしは皇輝くんから感じるものを信じて、情報を整理することにした。



2年前から、皇輝くんはどこに住んでいるのか。

それはきっと、矢吹先輩が教えてくれた通り、詠二お兄ちゃんのお家だ。


お父さんが言っている家庭教師のお話は、詠二お兄ちゃんが皇輝くんを連れ出す為の嘘……。




「……ごめんなさい、詠二お兄ちゃん」




本当のことを口にしていいのかどうか、迷いはあった。

わたしが指摘した途端、伊吹さんの信用は無くなるし、皇輝くんを連れ出すチャンスだって失われるかもしれない。


……でも、本当のことを明かさないと、皇輝くんの努力はお父さんに見えない。




「その認識は間違っています。皇輝くんは2年前から、ずっと詠二お兄ちゃんと住んでいるはずです」


「……ほう?」



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