傷だらけの黒猫総長
「そのちゃん……っ」
「……それが君の決断か」
「ぁ……」
「……苑香」
詠二お兄ちゃんは、眉間に薄く皺を寄せてわたしを見ていた。
望ましいことじゃないのは分かってる。
だけど、信じて欲しい。
「詠二お兄ちゃん。本当のことを話してください。詠二お兄ちゃんは皇輝くんに何を望んだのか、皇輝くんは何をしてきたのか」
「……わぁったよ」
わたしの視線を受けた詠二お兄ちゃんは、髪をくしゃっと握って苦い顔でそう言った。
視界の端に、血の気の引いた顔で震えている皇輝くんも映って、咄嗟に駆け寄る。
「ごめんね、大丈夫だよ、皇輝くん。何があっても、わたしが守るから」