傷だらけの黒猫総長
「心ではなく、合理で物事を考えること。感情を切り捨て、冷静沈着であること。……どちらも、皇輝くんにとっては非合理的です」
深呼吸をして激情を飲み込んでから、“淡々と”を意識してそう告げる。
お父さんは「ふむ」と一考する素振りを見せて、お話に応じた。
「皇輝にとって、それが非合理的である証拠は?」
「……これからするテスト。2回に分けることは可能ですか?」
「あぁ」
「でしたら、1回目にわたしが感情的な声掛けをします。2回目にお父さんが声掛けをして、後者の点数が下がったら認めてください」
じっと目を見て提案すると、お父さんはやはり何の感情も浮かばない、けれど苦しみも感じない瞳でわたしを見つめ返す。
「……君は、皇輝の母親に似ているな」
「え……?」