傷だらけの黒猫総長
「いいだろう。そのやり方で確かな変動を認められたら、私は皇輝の教育から外れる。条件付きで詠二、お前に預けることも許可しよう」
「は? ……確かだな?」
「皇輝がそうであったなら、お前の元が教育環境として最適だろう。どちらに転ぶも、テストの結果次第だ」
お父さんがそう言って目を瞑ってから、そう間を置かずに、皇輝くんが山積みの教科書を持って戻ってくる。
視線を交わした若菜ちゃんと矢吹先輩、それに詠二お兄ちゃんは、エールを送るようにわたしを見てくれた。
みんなの視線に頷いて答えたわたしは、お父さんが数冊の教科書の中から問題を指定した後、皇輝くんに近づく。
「皇輝くん」
「……苑香。ありがとう」
「どういたしまして。でもね、わたしが我慢できなかっただけだよ」
振り返って小さくお礼を言った皇輝くんに、微笑んで答える。