傷だらけの黒猫総長
一方で、お父さんは詠二お兄ちゃんからわたしのお家の住所を聞いて、後日お詫びに来てくれた。
「私の愚息がご迷惑をおかけしました」
おばあちゃんは身なりのいい人が来てびっくりしていたけど、「孫からお話は聞いています」と物腰柔らかく対応していた。
そんなこんなで過ごしているうちに数週間が経ち、わたしは皇輝くんのいない教室に慣れつつも、最近は寂しさで溜息が増えてきた。
停学期間は3ヶ月。
皇輝くんと学校で会える日は、まだまだ先だ。
「苑香さん。ちょっと、いいかな」
そんなふうに、少しの緊張を滲ませて声をかけてきたのは司くん。
彼とは、ここのところ生徒会でしか会ってなくて、お話をする機会もパッタリ減っていた。