傷だらけの黒猫総長
2人で屋上前に移動すると、ここに来るのも久しぶりだという思いが湧き上がってくる。
「声をかけてくれてよかった。わたしね、司くんにお話したいことがあって」
「っ……黒羽のこと、だよね」
「うん。真剣に考えたんだけど、ごめんね。わたし、やっぱり皇輝くんとの付き合いは、止めない」
ずっと伝えたかった答えをキッパリ口にすると、司くんは深呼吸をして、泣きそうな顔で微笑む。
「だと、思った。無理を言って、ごめん。僕でも、好きな人と関わるのを止めろなんて、誰に言われても聞けないと思う」
「え……?」
「いつ、だったかな。教室で話してたのが、聞こえてきたんだ」
「あ……」
そういえばあの時、司くんが、若菜ちゃんと入れ替わりで離れていくのを見たような気がしたけど……。