傷だらけの黒猫総長
なんだか、話がついたみたいだ。
やっぱり、断られちゃった……のかな?
少しシュンとすると、“総長さん”がわたしを見て告げた。
「今日のことは、……忘れた方がいい。ここにも、今後近づくな」
“総長さん”が喋り終わると、ソファーに座っている女の人が「あぁ惜しい」と呟く。
彼が口を閉ざしたのを見て、もう1人のソファーに座っている男の人は、優しげな微笑みをわたしに向けた。
「お母さんの服のことも、写真のことも……君は見なかったことにして、これからも今まで通り過ごすといいよ」
「ごめんね、ほんと。お母さんのこと、なんて言ったらいいか……」
可愛い女の子も、お母さんの服を畳んで返しながら、気遣った表情でそう言ってくれる。
わたしはお母さんの服を受け取って、残念な気持ちを一旦横に置いた。