傷だらけの黒猫総長
やっぱり、あれは司くんだったんだ。
「情けないけど、気持ちを整理するのに随分時間がかかって……今日、話そうと思って来たのに、……はは、手が震えてる」
「司くん……? 大丈夫?」
「……うん。困らせるだけかもしれないけど、聞いてもらえるかな?」
グッと手を握った司くんは、眉を下げたまま微笑んで、わたしを見つめる。
わたしはゆっくりと頷いて、緊張が滲むその瞳をじっと見つめ返した。
「中学の時から、ずっと……僕は、苑香さんのことが好きでした」
「……!」
「……本当に、ごめん。苑香さんの気持ちは分かってるのに、その優しさに甘えようなんて」
司くんは目を伏せてそう言うと、ふぅと息を吐き出す。
「あぁ、でも……やっと言えた……」