傷だらけの黒猫総長
その声に滲む感情がなんだったのか、動揺したわたしには、分からなくて。
ただ、過去の記憶が全て一本の線に繋がったように、ストンと、納得できた。
よく赤面していた意味も、たまに慌てたり取り乱したりしていた意味も、今なら理解できる。
だって、わたしも同じだから。
「……そっか。ありがとう。わたしのこと、好きになってくれて」
「……うん」
「わたしも、自分の口から改めて言いたい。……いいかな?」
「……うん」
やっぱり泣きそうな顔で微笑みながら、けれど、憑き物が落ちたようにどこか落ち着いた様子で、司くんはわたしの言葉を待つ。
わたしも、もし皇輝くんに同じことを言われたらと、胸が締め付けられる思いを感じながら、丁寧に伝えた。