傷だらけの黒猫総長

「わたしは、黒羽皇輝くんが好きです」


「……うん。ありがとう」


「ううん。ずっと、鈍くてごめんね」


「僕の方こそ、ごめんね。僕が分かりやすいから、よくからかわれて。苑香さんが恋愛の話、苦手なこと知ってたのに」




こんな時まで、わたしのことを気遣ってくれる司くんは、皇輝くんに負けず劣らず優しい人。

考えてみれば、２人とも真面目で、頑張り屋さんで、優しくて、似ているところが多い。


……こんなに素敵な人に好きになってもらえたわたしは、なんて幸せ者なんだろう。




「苑香さんが、決めたことだから……僕は、応援するよ。黒羽といるのは大変なことも多いと思うけど、頑張って」


「ありがとう。司くんの――」


「待って、逢見(おうみ)でいいよ。僕も、これからは市松(いちまつ)さんって呼ぶから」