傷だらけの黒猫総長


少し寂しそうに微笑む司くんの提案に、口を開きかけて、閉じる。




「……うん、分かった。逢見くんの気持ちが一番だけど、もしよかったら……これからも、お友達でいて欲しいな」


「……うん。少し、時間がかかるかもしれないけど……市松さんがそう思ってくれていることは、覚えておくよ」




逢見くんは微笑んで、少しの沈黙の後に別れを告げた。

わたし達は1人で階段を降りて、それぞれの教室に戻る。


いつか、笑って話せるようになるその日を夢見て。




****




「またねー」


「また明日」


ブブブー、ブブブー




別れの挨拶が飛び交う放課後の校門で、振動し始めたスマートフォンを取り出す。

< 273 / 283 >

この作品をシェア

pagetop