傷だらけの黒猫総長
少し寂しそうに微笑む司くんの提案に、口を開きかけて、閉じる。
「……うん、分かった。逢見くんの気持ちが一番だけど、もしよかったら……これからも、お友達でいて欲しいな」
「……うん。少し、時間がかかるかもしれないけど……市松さんがそう思ってくれていることは、覚えておくよ」
逢見くんは微笑んで、少しの沈黙の後に別れを告げた。
わたし達は1人で階段を降りて、それぞれの教室に戻る。
いつか、笑って話せるようになるその日を夢見て。
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「またねー」
「また明日」
ブブブー、ブブブー
別れの挨拶が飛び交う放課後の校門で、振動し始めたスマートフォンを取り出す。