傷だらけの黒猫総長


若菜ちゃんに教わった乗り方を思い出して、歩道の上からバイクの後ろに横乗りする。

そろそろ皇輝くんの体に腕を回すと、「もう少しちゃんと掴まった方がいい」と言われて、ぎゅっと抱き着いた。




「あの、どこに行くの……?」


「俺の家」


「えっ?」


「この間、行きたいって言ってたから。兄さんは倉庫に行くみたいだけど」




バイクのミラー越しに視線を合わせてそう言われ、ポク、ポク、ポク、と考える。


……それってつまり、皇輝くんと2人きりってこと?

皇輝くん達のお家で!?




「わっ、わたしと皇輝くんだけなの?」


「うん。……嫌?」


「うぅっ……嫌じゃない、です……」




嫌じゃない。

決して嫌じゃないんだけど、もうワンクッション欲しいというか……!

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