傷だらけの黒猫総長
希実先輩が空気を変えるように、笑って俺に話を振る。
「……可愛い、のか?」
「あーあー、そこはすぐに頷かないと。分かってないなぁ、我らが総長様は」
「ほーんと、コウってばありえないんだから。こ〜んなに可愛い“なー”にだって可愛いの1つも言えないんだよ?」
「ハッハッハッ、育ち盛りでいいじゃねぇか。硬派な男も悪かねぇぜ?」
「ふふ、歴代の中にはそういう総長もいますからね」
思い思いに口を挟む皆の声を聞きながら、少し考えた。
終始キラキラと“輝いていた”彼女は、特別な人間ではあるのだろう。
ああやって輝いている人間が“可愛い”に当たるのか、と考えて若菜を見ると、その条件には当てはまっていなかった。
「なぁに、コウ。やっと“なー”の可愛さに気づいた?」
「……いや」
「ちょっと!」