傷だらけの黒猫総長


見たままを答えたのに、どうして皆は驚くのだろう。


……表現が間違っていた?




「言葉を選ぶ必要はないよ、皇輝。その答えで充分、分かったから。僕達の目に映った彼女と、君の目に映った彼女は、少し違うみたいだ」


「……違う?」


「なんだか安心したよ。頭では分からなくても、心には響いてたってことだろう? いいじゃないか、一目惚れ」


「え〜、本当に? コウって恋とかできたんだ……もうなんか、色んな感情すっ飛ばしちゃったね?」


「我らが総長様の春か。悪かぁねぇが……」




思い思いのコメントをされて、理解に苦しむ。

周りの話が分からないのは今更だが……葉先輩が噛み砕いて説明してくれないか、と目を向けると、微笑みを返された。




「少なくとも、僕の目には、彼女がキラキラと輝いているようには見えなかったよ」


「“なー”も、可愛いとは思ったけど発光はしてなかったかな〜」



< 33 / 283 >

この作品をシェア

pagetop