傷だらけの黒猫総長
「えっ? えっと、逢見くんのことかな……? ううん、友達だよ。同じ中学校出身なんだ」
「へぇ〜、そうなんだ? 市松さんモテそうだけど、彼氏とか好きな人とかいるの?」
「ううん、いないよ」
そうやって話していれば、段々と人が集まってきて、みんなで賑やかな朝を過ごすことになる。
中学校から高校に変わっても、こうやってお友達と話す時間が楽しいのは変わらない。
キーンコーンカーンコーン
「あ、予鈴だ。また後でね、市松さん」
「あーあ、近くの席のやつが羨ましいな」
「苑香と話してると時間足りない〜」
「ふふっ、ありがとう。みんな、また後で話そうね」
まだ入学してから日は浅いけど、好意的に接してくれるクラスメイトが多くて、わたしも嬉しい。
クラスメイト全員とお話するのを目標にしていた成果かな、とわたしは自分の席に座り直して、リュックから教科書やノートを取り出した。