傷だらけの黒猫総長
「う〜ん……」
授業の準備を終えて隣の席を見ると、入学式の日から無人のそこは、今日も変わらず空席だった。
席順表で名前は見たのだけど、わたしが話したクラスメイトの中には同じ中学校だった、っていう人はいなくて、人物像も分かっていない。
1ヶ月弱は同じ席だから、仲良くなりたいんだけどな。
出席番号7番の、黒羽――
――ガラッ
「……」
「うわ、イケメン……」
「え、あんなやついたっけ……?」
「……?」
後ろの扉から誰か入ってきたみたいで、ヒソヒソと話す声を耳にしながら、振り向いて様子を窺ってみる。
扉のところで、教室全体を見回すように顔を動かしていたその人は……吸い寄せられるように、わたしと視線を交わした。