傷だらけの黒猫総長
「え……“総長さん”……?」
「……!」
初めて目が合った時と同じく、彼はほんの少しだけ目を見開き、少しの間固まってわたしと見つめ合った。
――黒羽、皇輝くん。
今、この教室にいないのは隣の席の人だけだ。
「……黒羽、くん?」
首を傾げて、確かめるように名前を呼んでみると、彼は後ろを向いて、すぐさま廊下に引き返してしまう。
「あっ……ちょ、ちょっと待って!」
「え? 市松さん?」
何故か“逃げられた”と感じたわたしは、慌てて彼を追いかけに、教室を出た。
もうすぐホームルームが始まっちゃうから、戻ってきてもらわないと。