傷だらけの黒猫総長
「――世紀後半、隋の文帝は――――」
関わらないようにすると言った手前、あまり見ないようにしていたのだけど、ふと視線を上げると黒羽くんと目が合ってびっくりする。
授業中に目が合うとは思わなかった。
その上、黒羽くんは床に視線を落として、わたしの消しゴムを拾ってくれた。
「……」
無言で手を伸ばす黒羽くんの姿に少し驚きつつ、笑顔で消しゴムを受け取って、ありがとう、と口パクで伝える。
それにコク、と頷いてくれたのも嬉しくて、授業中なのにわたしはニコニコと笑ってしまった。
やっぱり、黒羽くんって優しいんだ。
****
「黒羽くん、さっきはありがとう」