傷だらけの黒猫総長
雨上がり
プシュー……
バスから降りると、リュックを背負い直して歩き出す。
満開の桜に祝福されて始まった高校生活は、今日で2日目。
新しい校舎にも、バス通学にも、まだまだ慣れない。
「あ……天気雨?」
ポツポツと雫が当たる感触がして顔を上げると、空は青く晴れていた。
こんな天気の時は虹が出やすいってどこかで聞いたけど、空を見上げていたら、虹が見えるかな。
もし虹が出たら……きっと、お母さんへのいい贈り物になる。
今日は、四十九日だから。
「ぐすっ……ひっく……」
「……?」
公園の横を通りかかると、どこからか押し殺すような泣き声が聞こえてきた。