傷だらけの黒猫総長




「えぇ!? ひど〜い、葉くんセンパイも“なー”に教えてくれなかったの!?」




ぷくっと頬を膨らませた可愛い女の子は、ぶつぶつと文句を言った後にわたしの手を取った。




「ね、若菜(わかな)とも友達になろう? っていうか、なって!」


「う、うん。いいよ」


「やったぁ! あ、名前言ってなかったよね。遠坂(とおさか)若菜(わかな)だよ。よろしくね♪」


「こちらこそ、よろしくね。わたしは市松(いちまつ)苑香(そのか)です」




微笑んで自己紹介をすると、若菜ちゃんはニコッと可愛い笑顔を返してくれる。


“思い出の倉庫”にいた人達のことはよく分からないけど……きっと、仲がいいんだよね?

若菜ちゃんと黒羽くんも。




「若菜。……弁当」


「あ、そうだった。ありがと〜、コウ」



< 57 / 283 >

この作品をシェア

pagetop