傷だらけの黒猫総長
待ち伏せ
「市松さん、バイバ〜イ」
「ばいばい、また明日」
校門まで一緒に来たクラスメイトの子に手を振って、バス停へと向かう。
高校は通学手段が色々と増えるから、お友達と一緒に帰る機会が減った気がする。
「ねぇ、あの人……」
「うん、超かっこいい……!」
「……?」
同じ下校中の生徒の話し声が周りから聞こえてきて、誰の話かな、と辺りを見回してみる。
すると、道路の向こう側に1台の車と、20代前半くらいの男の人を見つけた。
人を探しているのか、車のそばに立っている男の人は、キョロキョロと顔を動かしてこちらの歩道を見ている。
誰かのお兄さんなのかな、と思っていると、偶然その人と目が合った。
「お、いたいた!」
「え?」