傷だらけの黒猫総長
「色々と聞きたいことが多そうだな。何から知りたい? 答えてやるよ」
「えっと……それじゃあ、お母さんとはどういった関係で?」
「俺がガキの頃、世話を焼いてもらった関係、だな」
家の住所を教えると、「あぁ、あの辺か」とナビを使わずに運転を始めた詠二さんは、前を向いたままそう話してくれた。
「お世話を?」
「あぁ。昔の写真見たんだろ? 佑香さんの近くに映ってたガキが俺だよ」
「あ、あの男の子……!」
「あれは小学校に入る1年前でな。道端で泣いてた俺を、当時高3の佑香さんが拾ってくれたのがきっかけだ」
そんな昔の知り合いだったんだ、と驚く。
高校3年生というと、わたしが生まれる1年前のことだ。