傷だらけの黒猫総長
自分の娘にも、将来音楽家になって欲しくて、英才教育を施しているらしい。
「……そっか。楽羅ちゃんは、ピアノの他に好きなもの、ある?」
「……うん。わたし、なわとびがすき……ボール遊びも」
「そうなんだ。お姉ちゃんも縄跳び好きだったよ。楽羅ちゃんはお外で体を動かす方が好きなのかな?」
「お姉ちゃんも……? うん。習いごとよりもね、みーちゃんたちとお外で遊びたいの」
女の子、楽羅ちゃんは、少し顔を上げてそう話してくれた。
今日も、お友達から遊びに誘われたのを断って、ピアノ教室に行くところだったらしい。
誰だって、他にやりたいことがあるのに、やりたくないことを強制されたら嫌だと思う。
わたしは、微笑んで楽羅ちゃんの頭を撫でた。