傷だらけの黒猫総長
黒羽くんの気持ちも尊重しつつ、無理に押し付けないように行動するとしたら、何ができるだろう?
「あ、そうだ。ねぇ、黒羽くん、次の数学なんだけどね、わたし予習してて分からないところがあって。ここ、黒羽くんは分かるかな?」
「……?」
机の中から数学の教科書を取り出して、家で予習していた時に詰まったページを開く。
隣の机に移動して尋ねると、黒羽くんは問題に目を通して少し考え込んだ。
「……あぁ」
「本当!? それじゃあ教えてもらえないかな?」
机のそばにしゃがみ込んで見上げると、黒羽くんはコクリと頷く。
わたしはパッと笑顔を浮かべて、一緒に持ってきたシャープペンシルで教科書に数式を書き込んだ。
「あのね、ここ。この公式を使うのは分かるんだけど、ここから先がこんがらがっちゃって……」
「……ここが違う。ここは――――」