傷だらけの黒猫総長
わたしがニコニコお礼を言っていると、近くの席の子がそう話し掛けて来た。
黒羽くんは少し困惑した様子に見えたけど、淡々と落ち着いた声で答える。
「……分かるところだったら」
「本当!? えっとね、ここなんだ」
「これは――――」
持ち寄られた教科書を見て、黒羽くんが解説を始めると、その子はシャープペンシルを走らせて問題を解いていく。
やがて……。
「解けた! すごーい、本当に分かりやすい! ありがと〜!」
「……いや」
「な、なあ、俺もいいかな。この問題なんだけど……」
「黒羽くん、あたしも教えて!」
「僕は物理で……」
わたしが大きい声を出していたからか、みんなが教科書を持ち寄って黒羽くんの席に集まって来た。